高齢者の食事は「規則正しく」が基本
人間が生きていくために食は不可欠なものであり、命の源です。
栄養のほとんどを食べ物を通じて補給しているので、きちんとした食生活を送ることが病気の予防や長生きに繋がると言っても過言ではないでしょう。
高齢者の食事において重要になるのは、1日3食、朝・昼・晩、規則正しい時間に食べることです。
それにより、体内にリズムが生まれ生活にメリハリが出てきます。
高齢者の方の中には仕事を引退して、1日中やることがない方もいます。
すると、生活リズムが狂い、朝食と昼食を一緒に摂ってしまう、夕食を抜いてしまう、など偏った食生活になりがちです。
しかし、必要な栄養分をしっかりと補給するためには、1日3食のリズムが理想的であるとされています。
長生きでずっと健康な生活を送るためにも、今一度、基本である食生活のリズムについて見直してみましょう。
また、それぞれの食事の間に、適度な運動を取り入れることも大切です。
無理のない程度にウォーキングをしたり、身体を動かす趣味を持たれてみるのも良いでしょう。
規則正しい時間に食事をし、余分なエネルギーは運動をして消費する、このサイクルが出来ることで基礎代謝がアップし、身体の中から活性化されていきます。
高齢者の食事は栄養バランスにも気を付ける
加齢に伴い身体のさまざまな器官が衰え、味覚にも変化が生じます。
味覚に関わる機能全体が低下することで、淡白な食材で味付けがあっさりした料理を好むようになる傾向があります。
こうしたことから、高齢者はそばやお茶漬け、パンといった簡単な料理でサクサクと食事を済ませてしまいがちになるのです。
その結果、栄養バランスが偏り、基礎体力の低下や思わぬ病気に掛かってしまうといった事態を引き起こしかねません。
そうならないためにも、高齢者の食事には栄養バランスをしっかりと考えた献立を心がけることが大切です。
一品一品の分量は少なめでも、主食と主菜、副菜をバランスよく、そしてなるべく多くの食材を使用し、さまざまな栄養素を1回の食事で摂取できるようにすることが理想的です。
特にたんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維は人間にとって必要不可欠な栄養分です。
偏りがちになりやすい高齢者の方の食事には、家族や身近な方が協力して、これらの栄養分をしっかり摂取できるようなメニューを考えていきましょう。
高齢者の食事はひと手間加えて食べやすく
たんぱく質や食物繊維は必要な栄養分ですが、高齢者の食事の中では不足しがちです。
たんぱく質の場合は肉類が食材の中心ですし、食物繊維の場合は野菜が中心となります。
しかし、固い生野菜や繊維が残るものなどは、高齢者にとって食べにくい場合があります。
そのため、高齢者の食事については特に食べやすい調理を心がけましょう。
例えば、一口で食べられるように小さく食材をカットする、肉類はミンチ肉を使用する、噛み切りにくい皮や脂身の部分は取り除くなどの工夫が大切です。
野菜はしっかりと煮込めば、多少固い食材でも噛み切れるようになることもありますので、食べられる方の状況を見て適切な判断をしましょう。
また、高齢者は嚥下機能が低下するため、誤って気管へ食べ物が入ってしまうこともあります。
気管に入った食べ物は嚥下性肺炎を引き起こす要因にもなるため、十分注意しなければなりません。
片栗粉やゼラチンなどを使って料理にとろみをつけ、飲み込みやすくすることも心がけましょう。
このように、高齢者の方の食事にはさまざまな注意点があるため、ご家族や身近な方がしっかりとした知識をつけておくことが大切です。