斎場と火葬場について
斎場とはどのような場所を指すのか
斎場とはもともとは神道の用語で、祭祀や儀式を行う場所を指して用いられていましたが、現在では葬儀を行う場所のことを広く指して使われます。以前、葬儀は主に自宅で行われていましたが、それが会場で行われるようになるにつれ、葬儀会場として使用される場所が「斎場」と呼ばれることになったのです。
葬儀そのものだけでなく、通夜や会食も斎場で行われることがあります。また、葬儀を行う施設には市町村等が運営する公営のものあれば、民間の葬儀業者が運営するものもありますが、「斎場」という語は前者の意味で用いられることが多くなっています。当然のことながら、前者の施設を使用したほうが低料金で借りることができるため、すぐに予約が埋まってしまいます。
斎場には、葬式を行う会場以外にも亡骸を安置する霊安室や、通夜などのために泊まる遺族・親族向けの控え室などが設置されていることがほとんどです。また、火葬場も併設された施設が近年増えてきています。
日ごろなじみのない火葬場について
火葬場はその名の通り、亡骸を火葬するための施設です。日本の火葬率は99%以上のため、全国の火葬場は年中稼働しています。
火葬場の建設が検討されている場所の地元住民の反対を受け、遅々として建設が進まない地域も多く見られます。そのため、全国各地で火葬場不足が問題となっており、火葬を1週間以上待つ家族もいます。
火葬場の最も重要な設備は火葬炉ですが、これは台車式とロストル式に分けることができます。台車式は棺を載せた台車ごと焼く方式で、骨がきれいに残るという特徴があります。それに対して、ロストル式の「ロストル」とはオランダ語の食品を焼く網やストーブなどの格子を意味する言葉ですが、炉内に渡した金属棒の格子の上に棺を載せて焼く方法です。
現在では、ほとんどの火葬場で台車式が採用されています。多くの場合、火葬炉の手前には「前室」が設けられており、清掃などの作業は参会者の目に触れることなく行うことができる設計になっています。
知っておきたいマナーと流れとは
火葬場に向かう機会は普段そんなに多くあるわけではないため、戸惑う方もいることでしょう。現地での流れについて事前に確認しておくことが大切です。
まず、火葬を行うには火葬許可証が必要になります。通常は葬儀社が代行して手続きをしてくれていますので、心配ありません。その後、火葬炉の前に棺を下ろしたら、「納の式」が行われます。その式において最後のお別れがなされます。
仏式の場合は、僧侶の読経に合わせて火葬炉の前にある焼香台に焼香します。火葬炉に棺をおさめるときは、合掌して送ります。火葬が行われている1時間ほどの時間、控え室に移動して参列者をもてなします。僧侶が同席している場合は、遺影と位牌は僧侶の後ろに置きます。
火葬終了の連絡があったら、骨上げ(こつあげ)を行い、遺骨を骨壷に入れます。この際、竹の箸を使い、「あの世に橋渡しをする」意味を込めて二人一組で骨を挟むのがしきたりです。足から頭に遺骨が拾い上げられていきますが、最後に拾われるのが喉仏です。故人と最も関係が深かった方が拾い上げます。