法事の香典についての知識とマナー
香典に関する基本的な知識を理解しておく
かつては法事に出席する際に品物を渡すことも行われていましたが、現在は先方の金銭的な負担を考えて現金で渡す方法が一般的です。いずれにしても、主な目的は故人に対する供養の気持ちを表すものであるということを覚えておきましょう。
葬儀の際にも言えることですが、まず確認しておきたいのは先方の宗教です。法事が仏式で行われるのか、それとも神式、あるいはキリスト教式で行われるのかによってマナーも大きく変わってきます。法事の招待状の中にも記されているため、きちんと確認して失礼のないようにしなければなりません。
また、法事に出席できない場合にも、お詫びの言葉を添えて香典を送りましょう。その際、現金を直接封筒に入れるようなことはせず、香典袋に入れたものを現金書留で送る方法が正式なマナーです。お悔やみの手紙の中には頭語、結語、時候の挨拶などは必要ありません。冒頭からお悔やみの言葉を述べ、故人とのエピソードなどに触れて、気遣いを示しましょう。
書き方に関するマナーを押さえておく
書き方は先方の宗教によって異なります。仏式の場合、通夜・葬儀の際には熨斗の表書きは浄土真宗を除いて「御霊前」ですが、四十九日の法要以後は「御佛前」「御仏前」「御供物料」が用いられます。キリスト教式、神式の法事の場合はこの表書きは使われず、キリスト教では「御花料」、神式では「御玉串料」と書くようにします。
袋の下段には、自分の名前をフルネームで記載します。夫婦で参列する場合、どちらも故人と親しかった場合には連名で書きますが、夫のフルネームを中央に、妻の名前をその左側に書きます。
会社の同僚などと連名の場合は、地位の高い順に右側から書きます。友人同士であれば五十音順に書くと良いでしょう。人数が4名以上になる場合は代表者の名前を中央に記載し、「他5名」などと左下に書き添えましょう。会社名義で香典を出す場合は社名ではなく、代表者の氏名を書きます。また、一周忌までは黒白または双銀の水引で三回忌以降は青白、黄白のものが用いられます。
お金の入れ方と法事における渡し方に関するマナー
気になるのは相場がどのくらいかという点ですが、故人との関係や地域によって大きく異なります。通常は5,000円~1万円、もし夫婦や家族で出席する場合には2万円~3万円が良いでしょう。また、不祝儀に入れるお金は新札を使わないという習慣があるため、新札しか持ち合わせがない場合は、軽く折り目をつけていれるのもマナーのひとつです。
また、包み方は慶事用とは逆で、中袋に入れる紙幣は肖像画のない方を表側、上袋の裏側は先に下を下り、上の折を重ねます。下に向けるのは「悲しみを流す」意味があるとされています。
香典を持って行く時は袱紗(ふくさ)に包んで持って行くことがマナーです。色は落ち着いた色のものを選びます。紫の袱紗であれば、慶事の際にも使用できるため便利です。
袱紗がどうしてもない場合でも、直接手で持って行くのではなく、グレーのハンカチなどに包んで行きましょう。香典は自ら仏前に供えず、施主の方に「心ばかりですが仏前にお供えください」と一言添えて渡ししましょう。