葬儀や法事後の食事について
精進おとしに関する基本的な知識
精進おとしとは元々、四十九日の忌明けの際に精進料理から通常の食事に戻すことを言います。しかし、現在では葬儀の際に火葬場から戻った後に行う食事会のことを指します。
本来、葬儀から7日目に初七日の法要を行いますが、葬儀から1週間後にまた親族に遠方から集まってもらうことの負担を考えて、繰り上げ初七日、つまり葬儀と同じ日に初七日を行う方法が現在では通常になっています。そして、その法要を終えた後に精進おとしの食事が行われます。
主には、僧侶や関係者に対するねぎらいの意味を込めて食事を準備します。火葬場と葬式場が一体となっている斎場では、精進おとしのためのスペースも準備されており、火葬が行われている1時間から1時間半の間で会食をすることもあります。
そこでは亡くなった方の思い出話をしながら、和やかな食事の席になるよう心掛けましょう。遺族はその席で席を回って、ひとりひとりに感謝を述べます。閉宴の挨拶の後、僧侶に戒名料と読経料をお布施として渡しますが、通常は通夜から含めて2日間のお布施になるため、僧侶1人に対して15万円~50万円程度を渡すことになります。
お斎に関する基本的な知識を知っておく
この「斎(とき)」という字は仏教における「斎食」という語から来ており、決まった時刻にとる食事、あるいは法事の際の食事という意味があり、ここでは後者のことを指します。一般的に法事は初七日・四十九日・初盆・一周忌・三回忌・七回忌・十三回忌・十七回忌・二十七回忌・三十三回忌に親族や友人を集めて行うのが習わしとなっていますが、その際にお斎が行われます。初七日は葬儀と同日に行われるのが通常ですので、精進おとしもお斎の一種ということになります。
本来は精進料理が正式な形ですが、現在では特に精進料理にこだわらない会食も増えてきています。主な目的は故人を偲ぶこと、そして集まって下さった方たちへのお礼です。
お斎が終わりに近づいた頃には、引き出物を御膳の前に置いていきます。前もって御膳のところに置いておいても問題ありません。お斎の最後に法要をした僧侶が退場しますが、その際にはお布施とお車代、御膳料を合わせて渡します。
葬儀や法事後の食事の際に覚えておくべきマナーとは
精進おとしや、法事後のお斎の際に覚えておくべき点の1つは「席次」です。様々な考え方がありますが一般的には、遺族が僧侶を接待するという形をとるため、僧侶が最上座、喪主や遺族は下座に座ることになります。
お斎の場合も、やはり法要をした僧侶が最上座で、施主は僧侶をもてなすために僧侶の近くに座りますが、ほかの遺族は上座に座ります。ホテルなどで行う場合は席次に関して心配する必要はありませんが、自宅で行う場合は間違えないようにしましょう。
お斎の席では、最後にご飯や麺類が出ます。これを施主、会葬者、僧侶がともに食することで、故人の霊の供養の気持ちを表します。施主あるいは僧侶の「いただきます」「お上がりください」という言葉を待ってから、一同で食べるのがマナーです。
最近では、精進おとしやお斎も仏事としての意味が薄れてきていますが、本来そこに込められた思いを持って参列することが重要です。また、施主もそのことを意識して、会食を始める際とお開きの際に心を込めた挨拶の言葉を準備しておきましょう。