介護保険とは
高齢化社会の中で求められた介護保険
介護保険は1997年に制定された法律に基づき、実施されているシステムです。日本は世界的に見ても人口における高齢者の割合が高い傾向にありますが、高齢化社会の中で徐々に必然性が高まったことを背景として、このシステムが実施されるようになりました。
1973年に制定された老人福祉法改正では、70歳以上の高齢者は医療費の自己負担が実質無料でした。ところが、高齢者の占める割合が増えたことに加え、無料で医療を受けられる手軽さから、病院を訪れるお年寄りが増えました。その結果、1973年から10年間で、国の医療費は実に10倍近く増加しました。
この急速に膨らんだ医療費を税金で補うことは難しいと判断され、1983年から高齢者に対する医療費の負担が開始されました。それまで、治療の内容に関係なく定額であったのが、2002年には医療費の1割を高齢者自らが負担するようになりました。
しかし、高齢化社会が進んでいることもあって、この方法でも医療費負担を抑制することはできませんでした。そこで、高齢者が病気になってサービスを利用する時には、高齢者同士がお金を出し合って負担するシステムが必要になりました。その中で誕生したのが、介護保険です。また、2014年以降に70歳を迎えた人は医療費が2割負担になります。
加入条件と手続きはどのように行われているか
介護保険制度は、満40歳になった人は全員加入することが決められています。何らかの医療保険に加入している人は、40歳になると自動的にこちらの制度に加入します。よって、加入のために役所に足を運んで手続きなどをする必要は一切ありません。
40歳以上でもさらに、年齢によって2種類に分類されます。第1号被保険者は、65歳以上の方が対象です。寝たきりや認知症で介護が必要になったと判断された場合に、サービスが利用できるようになります。
もうひとつが第2号被保険者であり、こちらは40歳から64歳までの人が対象です。サービスを受けるためには、特定の疾患にかかっていることが条件となります。具体的には、認知症や脳血管の障害、糖尿病由来の合併症、脊柱管狭窄症、末期がんなど16種類の疾患にかかると介護サービスを受けられます。
加入した場合には、料金を納めないといけません。料金はその人の経済状況などによって、いくつかの区分に分類されています。生活保護を受給している人や、住民税非課税世帯に含まれる人などは、住民税を支払っている人より金額が安い傾向にあります。
サービスを受けるために必要な条件
サービスを受けるためには介護保険に加入しているだけでなく、認定を受ける必要があります。身体や精神の状態などによって、どの程度のケアが必要なのかは人によって異なります。そこで、2段階の要支援と5段階の要介護の中から、それぞれのレベルに応じた認定を受けることになります。
認定を受けるためには、自分が住んでいる市区町村役場の介護保険担当窓口で申請します。その後、担当者が自宅を訪問し、具体的な状況に関する質疑応答などの調査を受けます。主治医の意見書なども踏まえて、総合的にどの程度のレベルなのかが判断されます。
申請は自ら行うことも可能ですが、手続きは全体的に複雑であるとされています。このため、ケアマネージャーなどの専門家に代理で行ってもらうケースが多いです。